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官能小説【調教に溺れて】第27章 男湯で混浴温泉

素肌に浴衣を羽織って、大浴場に向かった。
夜中の2時の廊下は、誰も歩いてはいなかった。
4階の大浴場に向かうエレベータに乗ると、高志は久美子を抱きしめキスをした。
キスをしながら、起用に素早く久美子の浴衣の帯を解き、浴衣を剥ぎ取った。

久美子は、エレベータの中で抵抗をする間も無く、全裸にされた。
もっとも、久美子は抵抗をする気持ちは無かった。
エレベータが4階に着き、ドアが開くとき誰かがいたらどうしようかと緊張をした。
誰もいなかった。
久美子は、安堵のため息を付いた。
全裸のまま、廊下を歩いた。
誰もいない廊下に、スリッパの音がやけに大きく聞こえ、誰かが出てきそうだった。
真直ぐな廊下は、もし、誰かが向こうから来たら、隠れる場所も無かった。
緊張で、口の中が乾いてきそうで、唾を飲み込んだ。
唾を飲み込む音でさえが、廊下に大きく響いたような気がして、高志の手を強く握った。

数十メートルの廊下を誰にも会わずに大浴場に着くと、高志は久美子の手を離さずに、青い生地に男湯と書かれた暖簾を潜った。
やはり、男湯に一緒に入ろうというのは冗談では無かった。
脱衣所に入ると、脱衣籠が棚の中に並んで置かれ、全ての脱衣籠は空だった。

誰もいない。

高志は、手に持っていた久美子の浴衣を籠に入れると、自分も浴衣を脱ぎ同じ籠に入れた。
高志が浴衣を脱いでいる間、久美子は、髪が濡れないようにタオルを頭に巻き、髪をタオルの中に隠した。

浴室に入ると、内湯を素通りして露天風呂へ続くドアを開けた。
露天風呂は狭く、3人が横に並んで入れるくらいだった。
海に向かって遮るものは何も無く、湯船に浸かると暗い海と沖に船の灯りが見えた。

「もし、誰か来ても身体を隠したらダメだよ。」高志が言った。
「見られてもいいの?」
「久美子の裸は、とても艶っぽくて自慢をしたくなる。久美子の裸を見て、他の男が興奮をしたなら嬉しい。
 それだけ、魅力的な彼女を持っているっていうことだからね。」
久美子は、彼女と言った高志の言葉が嬉しかった。
高志が、そうしたいのなら従おうと思った。
それでも、やはり誰かが来たらと思うと緊張をした。

誰も来ないで欲しいと思いながらも、誰か来たら高志は私をどう扱ってくれるのだろうかとの楽しみも有った。

湯船に浸かり空を眺めていると、闇に馴れた目に天の川が映った。
「流れ星。」久美子が言った。
「えっ。見えなかった。」高志が、残念そうに言った。
「願い事、言うの忘れちゃった。」
「何を願うの?」
「秘密。」
そんな会話が楽しく、湯船の中で高志の手を握った。

浴室のドアが開く音が聞こえた。
久美子の身体が、緊張で硬くなり高志を見た。
高志は、久美子と目を合わせ大丈夫と目で合図をして、聞き耳を立てながら露天風呂に通じるドアに神経を集中させていた。

内湯と露天風呂を遮る曇りガラスに、真直ぐに露天風呂に向かって歩く男の影が写った。
男は、露天風呂へ続くドアを開け、一歩踏み出した。
高志と久美子は、浴槽に浸かりながら、男を見上げた。
男は、久美子の顔を見ると驚いたように立ち止まり、慌てて股間をタオルで隠した。

久美子は、男の顔に見覚えがあった。
さっき、海で久美子を覗いていた、若い気の弱そうな彼だった。

「こんばんは。」高志は、獲物を見つけた目を隠して笑顔で言った。

つづく

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