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【調教に溺れて】第16章 性欲は夜まで我慢


深い海の青さと、透明な空の青さが水平線で混じりあっていた。
海岸通りに出ると、行き交う車の通りが激しかった。
記憶の無い夜のことを知りたいと言う、久美子の問いかけに高志は黙っていた。
何かを考えるように、真直ぐに前を見詰め無言で車を運転していた。
久美子は、高志の答えをじっと待った。

「時期が来たら教えるよ。」ぽつりと高志が言った。

久美子は、高志の言った言葉の意味を考えたけど、答えはわからなかった。
「何故? 今では教えられないの?」
「今は、まだ、久美子の中に、その時期が来ていない。
 自分の身に起きた出来事だから、知りたい気持ちは理解できる。
 でも、今はまだその時期ではない。
 もっと、自分の中にある、欲望を曝け出してからだ。」
高志は、言葉を選ぶように切れ切れの言葉を発した。

信号で車が止まった。
数人の歩道を歩く人達が、青信号を渡ろうと急ぎ足で車を通りこしていった。
誰も、久美子の透けた乳首に気がつかなかった。
みんな自分達の会話で精一杯みたいで、車の中を覗く人達はいなかった。

高志は、運転席の窓を開けると、タバコに火をつけた。
熱い空気が車の中に流れ、タバコの臭いが久美子を包んだ。
突然、身体の奥にある子宮の辺りが疼いた。
まるで子宮の中に何かがいて、久美子の性欲を刺激しているような感じがした。

高志のズボンのチャックを開け、勃起したペニスを取り出し、口に含みたかった。
咳き込むぐらいに喉の奥まで、ペニスで貫いて欲しくなった。

目を閉じ、じっと性欲を堪えた。

車が走り出すと、窓から吹き込む風が強くなり、潮の香が久美子の前髪を揺らした。
高志は、灰皿にタバコでタバコを消すと、一瞬、久美子を見た。
「したくなったか?」高志が言った。
「とても。」
「夜まで我慢を出来るな。」
「ほんとうに   」久美子は言葉を切ると、言いかけた言葉を飲み込んだ。
「ほんとうに?」
「今晩、私の中に入れてくれます?」
高志は、運転席で前を向いたまま口元で笑った。
「心配するな。」
久美子も釣られて笑顔になった。

「いっぱい。」久美子が言った。
「いっぱい?」
「いっぱい、入れて欲しい。
 朝まで、抜かないで、一つになっていたい。」
「それは無理だ。」
「抜かないで、ずっと入れていて欲しい。」久美子は、もう一度強く言った。
「トイレにもいけない。」
「私の中で、しっちゃってもいいのよ。」自分の言葉では無いと思った。
今まで、こんなこと一度も言ったことが無い。思ったことすらなかった。
「腹減ったな。昼飯食べるか。」高志が話題を変えるように言った。
話をはぐらかされた気がした。

つづく



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