高志から連絡が来るのが待ち遠しくなっていた。
久美子は、何度も時計を確認した。
時間の流れが、今日はやけに遅く感じた。
時刻を確認する。
そして、また時計を見る。
10分しか進んでいない。
何かをして、気を紛らわせようとノートパソコンを開き、付属のWebカメラを起動してみた。
パソコンを買って1年近く経つが、Webカメラを使って見たの始めてだった。
Webカメラを起動してみると、裸の久美子の上半身が写った。
想像していたよりも、画質は綺麗で乳房がはっきりと写っていた。
この画像を高志に見られるのかと思うとドキドキとしてきた。
太陽が西のビル街に沈むと、当たり前のように夜が訪れてきた。
久美子は、部屋の明かりを消すとベランダに出て洗濯物を取り込んだ。
そして、もう一度、ベランダに出るとコンクリートの手すりから顔だけ出して通りを見下ろした。
車が走り、歩道を人が歩いていた。
男が通り、女が通り、カップルが通り、若者も主婦も年寄りあらゆる人が服を着て歩いていた。
私だけが裸だった。
そして、私が、裸でここにいることを誰も知らない。
上を向けば、私の顔は見えるかもしれない。
でも、まさか裸だとは誰も思わない。
上を向き、私の顔を見て、何事も無いように通り過ぎるだろう。
久美子は、暫くの時間、通りを眺めていた。
9時を過ぎると、久美子の心は落ち着かなくなってきた。
緊張のせいか、そわそわと落ち着かなくなっていた。
シャワーを浴びた。
身体を綺麗にしておきたかった。
肩甲骨よりも少し長く伸ばしている髪を洗い、指先から足の先まで丁寧に洗った。
ボディーソープの泡を、熱いシャワーで流しているとき、私は、何故浮かれているのだろうと思った。
高志とのビデオチャットを、待ち望んでいるようだった。
いったい、私は何をやっているのだろう?
自問自答をした。
理由の分らない、甘い痛みが胸に走った。
浴室を出て、ドライヤーで髪を乾かした。
そして、薄く唇に紅を塗った。
鏡に映る、自分の顔を見ていると、甘い痛みが、また胸に走った。
さっきよりも、痛みの強さが増したような気がした。
9時50分
久美子は、棚から薄いピンクのバスタオルを取り出すと、身体に巻いた。
スマホを右手に持ち、パソコンの前でじっと待っていた。
10時
高志から、時間通りにメールが来た。
高志のメールには、スカイプのIDが書かれていた。
久美子は高志に自分のIDを返信すると、パソコンを繋いだ。
つづく
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