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官能小説 【調教に溺れて】第19章 手枷で繋がれていたい

八月の日差しが、波間に反射して海が輝いていた。
久美子は助手席に座ったまま、眩しさに目を細めた。
海岸通りの道で、車は渋滞に巻き込まれ動いては止まりを繰り返し、車の脇を通り過ぎる人の速度の方が速かった。

久美子は、次の命令をまっていたが、高志はたわいのない話に終始していた。
自分ひとりが、命令を待つ犬のようだと思った。

ホテルに着いたのは、16時を過ぎていた。
国道から、海に向かって延びている細い坂道を降った行き止まりにホテルは建っていた。
4階建ての、こじんまりとして木造をイメージした、静かで落ち着いた雰囲気の建物だった。
建物の周りは木々で埋め尽くされ、国道を走る車の音が樹木に吸収されてしまったようで、小鳥の囀りが聞こえるだけだった。
そして、潮の香が建物を包み込んでいた。

久美子は、エッチな秘密の隠れ家に来たような気がして、妖しい気持ちに胸が高鳴った。

玄関を入ると、丸太作り風のロビーがあり、フロントには口元に笑みを浮かべた、30代ぐらいの男性が蝶ネクタイ姿で立っていた。
そして、大きくも無く、小さくも無い声で「いらっしゃいませ。」と言った。
高志がチェックインをしている間、久美子はロビーの奥に有る小さな売店でお土産を見ていた。

2人の部屋は、3階の角部屋だった。
部屋の玄関を上がると、右手のドアはトイレと洗面所だった。
正面の襖を開けると、8畳の和室で部屋の真ん中に2人で使うには大きすぎる、黒いテーブルが置かれていた。
ベランダに出ると、目の前が海だった。
ホテルは、海沿いの崖の上に建っていた。
ベランダの横の部屋は、檜作りのお風呂があり、浴槽には温泉が溢れるほどに満たされていた。

久美子は、ベランダの手摺に凭れ、夕日に照らされた海を見詰め、遠くに見える、漁船の数を数えた。
高志は、ベランダに置かれた椅子に座りタバコに火を点けると久美子の後ろ姿を見つめた。
タバコの匂いが、風に乗り久美子に届いた。
「久美子。」高志が低い声で言った。
久美子は、高志の方を振り向いた。
「服を脱いで。」突然のような高志の言い方に、久美子の胸が高鳴り始めた。
「ここで?」
「そう。
 この部屋にいるときは、全裸でいること。」
久美子は、頷いた。
「それから。。。」高志は、言葉を切った。
「それから?」久美子が問いかけると、高志は微笑み立ち上がると久美子をその場に静止させて、部屋の中に一度消えた。

部屋から戻って来た高志は、二つの手枷と一本の拘束バンドを持っていた。

初心者用テザー
初心者用テザー



リストカフス
リストカフス




「それから、この部屋にいる時は、2人の腕と腕をこれで繋いでいるよ。
 2人は離れない。」
2人は離れないと言った高志の言葉に、久美子の心の中に喜びが湧き上がって来た。
「ずっと繋がれていたい。」
久美子は、そう言うとベランダで来ている服を脱ぎ全裸になると、高志に近づき、高志の目の前に右腕を差し出し「繋いで。」と言った。

つづく

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

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