その日、M美と手を繋いで横浜の港を散歩した。
まるで、10代の頃のように胸が高鳴った。
俺のポケットの中で繋いだ、M美の手は暖かく柔らかかった。
木枯らしが落ち葉をカサカサと運んでいた。
「寒いね。」とM美は言うと身体を寄せてきた。
風よもっと吹け!! 俺は心の中で祈った。
そして、石川町駅に程近いバーに入ると、カウンターに並んで座った。
少し恰好をつけてI.W.ハーパーをロックで飲んだ。
会話の途中で、M美は肩を寄せてくる。
肩が触れ、腕が触れる度に葛藤で心が乱れた。
結局、その日は、手を繋ぐ以上のことが出来なかった。
お互いに家に帰らないといけなかった。
そして、M美は大阪に引っ越していった。
M美と離れると、M美の存在が心中で大きくなって行った。
会いたい思いが募った。
M美が大阪に引っ越して、1ヶ月が過ぎた頃、仕事で大阪に出張が決まった。
メールで報告をすると、仕事が終わったら2人で食事に行く約束をした。
大阪で久しぶりに会ったM美は、目が合うと周りに気付かれないように微笑んできた。
仕事が終わり、居酒屋で食事をした。
居酒屋を出たのが11時を過ぎていたけれど、まだ、別れたくなかった。
また、暫く会えなくなってしまうから、もっと一緒にいたかった。
そして、ダーツバーに行った。
ダーツをしながら、さりげなくM美の腰に腕を回した。
拒絶の反応は無かった。
M美の胸が、俺の胸にあたった。
柔らかい膨らみを感じた。
強く抱きしめたい衝動を堪えた。
1時も回り店を出た。
エレベータに乗ると、2人きりになった。
もう、自分を抑えることが出来なかった。
M美の唇に唇を近づけた。
M美は、それを察し、恥ずかしそうに俯いた。
俺は、右手をM美の顔に添えると、M美の顔を上げさせた。
M美の抵抗は無かった。
始めてM美と唇を重ねた。
1階でエレベータのドアが開くまでの、ほんの数秒間唇を重ねあった。
「大
好きだよ。」M美に言った。
「私も。」M美が言った。
外に出ると終電も出て行ったせいか人通りは無かった。
通りに出て、タクシーを拾う間、何度もキスをした。
時折、通り過ぎる人の姿など気にならなかった。
そして、M美は、タクシーに乗ると、旦那の待つ家に帰って行った。
M美の乗ったタクシーが見えなくなると、俺は一人ビジネスホテルに、向かって歩き出した。
つづく
もう一度恋をしたい。
苦しいほどに切ない恋を楽しみたい。
幾つになっても男は女が
好き。
初恋のトキメキをもう一度。
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